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洛東

quod tacui et tacendum putavi.

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Good bye.(神楽と新八)

ぎんたま。神楽と新八。
すごく短い。

ぎんたまなんですが、短いうえに情景描写が皆無です。さらにいうと同じネタで何度もテキスト書いてます。
ので、こっちに置きます。
神楽ちゃんが万事屋から卒業する日。






ずっと、いつかここから旅立たねばならないと思っていた。

ぜんぶ終わってから出てきたいと思ってて、でも終わらせちゃうと満足しちゃって。
終わらせちゃうと惜しくなって、終わってほしくなくなって。
でもぜんぶ終わらせちゃうことなんてとてもできなくて。少なくとも、なにかは残る。わたしの掌にはなにかが残る。
でも出ていこうと思っていた。

わたしが出ていったとしても、なにかは残る。あなたの掌にはなにかが残る。なにも無駄じゃない。なにもなかったなんてことはない。

すらりとした手足をわかれのかたちに笑顔でふって、彼女は扉から出て行った。
神楽を見送って、新八はぎゅっと握られた手を見下ろす。
掌にはなにも残ってはいなかったけれども。
残っている。たしかに。温度。手が緊張でうすく汗ばんでいたこと。握るつよさ。
きみが僕の手を握っていたということ。
たしかなことだった。今ここにないからといって疑うことが馬鹿らしいくらいに。二度と会うことがなくとも、それはたしかにここにあって、それを互いに大事にしてゆくことができるのだった。美化せずに疎かにせずに。ちゃんと抱えていってよいものだった。
「またね」

「うん、またね」
神楽は呟いた。
なんと素敵な言葉だろうか。
別離に耐えられるのなら、きっとまた会うその日には、あなたに恥じないわたしとして笑えるだろう。





----------------------------------------
扉の逆光で神楽ちゃんの表情がわからないなかで、でも笑う口元だけは見えて、それで出て行く。
そんなイメージ。
銀さん不在の万事屋。でも銀さんがいないから出てくんじゃなくて。
英語の「Good bye.」ということばがすきです。直訳の「よい別れを」が「さようなら」よりも清々しくて。

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フラグメント

↑old↓new
〈落忍〉
生い先こもれる窓のうちなるほど(滝夜叉丸と綾部)
かじつ(五年ろ組)
営門を仰ぐ(小松田)
艶書(会計委員会)
俺の指を噛んで(六年は組)
裏打(伊助とは組の誰か)
全てを捧げる朝(きり丸)
今夜の嵐は荒れるだろう(久々知と伊助)
空蝉(金吾と喜三太)
知音(双忍)
寄する波(会計委員会)
故にあなたを捨てられない(図書委員会)
内密(双忍)

〈グレンラガン〉
手折る指先(ロシウとシモン)
順列のともし火を絶やさぬよう(ロシウとヨーコ)

〈ソウルイーター〉
「ひどく憎んでいるかぎり、まだいくらか愛しているのである。」(シュタイン)
「人間よ。汝、微笑と涙との間の振子よ」(ソウル)
「どんな忠告を与えるにしろ、長々と喋るな。」(椿とブラックスター)
秘密という寓話(マカとソウル)

〈SilverSoul〉
葡萄色した東雲に(銀時と土方ととある女)
フォゲット・ミー・ノット(土方と銀時)
Good bye.(神楽と新八)

〈APH〉
夕焼けに薔薇と桜(イギリスと日本)
ドリンクはお好みで(フランスとイギリスとアメリカ)
約束の約束(アメリカと日本)
落葉の手(日本とイタリアと)
寒鴉ひとこえ是と哭けり(プロイセンとロシア)
わたしの緑、わたしのケロイド(イギリスとアメリカ)
藍より出でて(イギリスと日本)

〈fkmt〉 
2番までは知らない(カイジとアカギ)
銀河と君が近かった時代(ひろと赤木さん)
高さのちがう肩に降る(しげるとカイジ)
きしんだ髪と遠くの愛(カイジ)
先生が優秀でしたから(ひろと赤木さん、市川さんとアカギ)
失う前に捨てなさい(カイジとアカギ)
手遅れになったら会いましょう(アカギとカイジ)
ていたらくの作り笑い(しげると涯と零とカイジ)
今はまだ昨日のこと(赤木さん)

〈neuro〉 
アーケオプテリクスの緑(弥子とネウロ)
a solitary example.(弥子とネウロ)
ラワーレ(弥子とネウロ)
いつも五分前(篚口と弥子)
The sleeping Cat.(ネウロと弥子)
n and y(弥子とネウロ)

〈其の他〉
春風の地平(はぐと花本先生)
無何有郷(ベルとキティ)
蓮(曽良と芭蕉)
君は呟く。(中禅寺と榎木津)
ダーリン・フロム・ヘル(笠野と達海)
くたばってしまえ(静雄と臨也)
こどもは隠れるのがうまい(ジャーファルとアラジン)

〈一次創作:掌編〉
薄荷はレモン
香典はセロリ分引いといたから次は蟹で頼む
星に願いを
みかん捨て場には近いし隣室がちょうどいい
語感で会話してるとこうなるっていう一例
十年一日(俺の十年、奴の一日)
コーヒー置いてけ
船出の刻
透明人間は派手で儚いレインボーの夢を見る
モ・クシュラ
蝶々が尋ねる花はこの野にある
秋は剥落

管理人:りつか

ぎんたま以外に書いたものを雑多に。 コンセプトは「好きなものを好きなだけ」。

quod tacui et tacendum putavi.…「わたしが語らなかったこと、そしてわたしが黙っているべきだと思ったこと」。いわぬが花を口にする無粋、を承知で語らずにはおられない気持ちで。

ぎんたま以外に書いたものを雑多に。 コンセプトは「好きなものを好きなだけ」。

 





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