コーヒー党と紅茶党の組み合わせは入る店に不自由する。というわけではないのだが、入る店を選ぶ段階でお互いの指が逆を指すことは往々にしてある。
アルフレッドはロス発祥のとあるコーヒーショップを、アーサーはカフェを指した。互いの片方の眉が持ちあがる。
ここで口論してみせるのは簡単だ。だが譲るのは難しい。易いほうに流されようとして口火をきりかける自らをなだめて、二人は一瞬ことばを探した。
フランシスはフランシスで内心口笛でも吹きたい気分だった。常ならば、お前らは口論を挟まないと次のステップに進めないのか、と苦笑まじりで仲裁を入れるところだ。成長してきてるのかね、と思ってからいいやと思い直す。気分の問題だろう。口論もまた、その中身が何であれカップを傾け席をともにするのと同じく、時と場合によりコミュニケーションのひとつである。アルフレッドとアーサーにかぎらず、フランシス自身にもいえることだったので、彼は実のところ二人の口論が嫌いではない。
うまい言葉が思いつかなかったのか、アルフレッドがいつもの調子で肩をすくめた。アーサーが口を開きかける。このままではいつものような口論に雪崩れ込むのも時間の問題だ。それも悪くはないのだが。
紅茶党とコーヒー党の喧嘩を止めるのは、ワイン党の自分の役目だろう。フランシスは二人の嫌そうな顔を思い浮かべながら、上機嫌で右のコーヒーショップと左のカフェの向こうの、道の先のバーを指した。
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やいのやいのいいながら飲めばいい。
ビール党のルートとかパスタ党のフェリとかトマト党の親分子分とか、考えましたがカオスでした。最終的に飲み物じゃないし。
この組み合わせは、それぞれが元兄のようなものなので非常におもしろいです。そんなふうには必ずしも思ってないのかもしれませんが。
ロス発祥のコーヒーショップはたしかスタバです。
ぎんたま以外に書いたものを雑多に。 コンセプトは「好きなものを好きなだけ」。
ぎんたま以外に書いたものを雑多に。 コンセプトは「好きなものを好きなだけ」。